天城山|日本百名山.net

日本百名山

天城山

Mt.Amagi

天城山

名称 天城山
よみ あまぎさん
所在地 静岡県
標高 1,406m(万三郎岳)
山系 伊豆半島
種別 成層火山
分類 日本百名山
花の百名山
難易度
体力度 ★★
日程 前夜泊1日

天城山(あまぎさん)は、静岡県の伊豆半島中央部の東西に広がる山。天城山は連山の総称で、天城連山や天城山脈と称されることもある。日本百名山の一つ。

伊豆半島最高峰の万三郎岳(ばんざぶろうだけ 1,406m)、万二郎岳(ばんじろうだけ 1,299m)、遠笠山(とおがさやま 1,197m)等の山々から構成される。東西の山稜部は富士箱根伊豆国立公園に指定されている。

成り立ち

天城山は第四紀の成層火山。80万~20万年前の噴火で形成され、火山活動を終え浸食が進み現在の形になった。かつての山頂は浸食が深い南側にあったと考えられている。遠笠山も含めて天城山とすることが多いが、火山学上では伊豆東部火山群に属し、天城山が活動を終えてからできた火山地形である。また、万三郎岳の西に位置する皮子平火口がおよそ3200年前に噴火し、北麓にかけてなだらかな斜面が形成されているが、これも伊豆東部火山群の活動に分類される。

気候

夏期には太平洋からの湿った風が、天城山にあたることで上昇気流となり、雨雲に発達するため雨が多く、年間降水量が4,000mmを超えることもある。また、冬期には積雪することも珍しくない。

主な地形と峠

東から

山名の由来

葉に多くの糖分が含まれているアマギアマチャ(天城甘茶 学名: Hydrangea macrophylla var.amagiana)という、ヤマアジサイに近い種類の植物があり、日本国内にはこの葉を乾燥して甘茶をつくり薬用や仏事に用いる風習が残る地方がある。そのアマギアマチャが伊豆の山地に多く自生しており、かつて天城山周辺の住民にも同様の風習があったために天城山の名になったのではないかという一説がある。また、気候の節で述べたように天城山は多雨地帯であり、「雨木」という語が由来であるとする説もある。

植生

標高約600m以下の地帯

常緑広葉樹を主とする暖温帯林

標高600m以上の地帯

落葉広葉樹を主とする冷温帯林

人工林としてはスギとヒノキが、東麓では標高1,000m付近まで、北麓では800m付近にまで植林されている。

山腹、山麓の巨木

太郎杉

天城山中で最大のスギで、老木には珍しく幼木をそのまま巨大にしたような整った樹型が特徴。推定樹齢400年、幹周約9.6m、静岡県指定の天然記念物、所在地 静岡県伊豆市湯ヶ島

シラヌタの大杉(不知沼の大杉)

天城山の南麓にあるスギの大木で、太郎杉につぐ大杉として次郎杉とも呼ばれる。幹周約8.6m、東伊豆町指定の天然記念物、所在地 静岡県賀茂郡東伊豆町大字奈良本

お化け杉

シラヌタの大杉の近くにあり、異様なほどに多くの枝を持つスギの大木。千手観音杉とも。幹周約5.4m、所在地 静岡県賀茂郡東伊豆町片瀬国有林

登山

天城山は著名な登山家である深田久弥に日本百名山の一座として選ばれ、登山シーズンには多くの登山客を集める。山稜は森林限界を超えていないため、登山道の大部分が広葉樹に覆われている。そのため、万二郎岳から馬の背に至る鞍部にある2箇所の岩場と、八丁池展望台、山体西部の青スズ台で展望が開ける程度である。最高峰である万三郎岳においてもわずかに北方が望めるほど。

登山道の脇にはブナ、ヒメシャラ、アセビ、シャクナゲなどが特に目立ち、万二郎岳と万三郎岳の間の馬の背と呼ばれる尾根には、登山道がアセビの樹林の中を通るアセビのトンネルがある。万三郎岳の北にはシャクナゲが群生している。

なお、天城山は積雪があるため、冬期登山の場合はアイゼンが必要になることがある。

主な登山路

天城山の主稜を東西に歩く天城縦走路が山頂へ至る主なルートで、東は天城トンネル付近から入る複数の登山口と、西は天城高原ゴルフ場の横から入る登山口が主に使われている。なお、天城峠の西からは伊豆山稜線歩道に繋がり、達磨山などの伊豆半島の西北部の山稜へ歩くこともできる。

皇族と登山

昭和天皇は1930年(昭和5年)6月に八丁池までの往復を歩き、この際に使用した登山道を御幸歩道と呼ぶようになった。八丁池にはこの登山を記念して「天蹕留蹤碑 (てんひつりゅうしゅうのひ)」と刻まれた記念碑が残っている。なお、昭和天皇は1981年(昭和56年)6月にも登山している。また、昭和天皇の孫である皇太子徳仁親王も1982年(昭和57年)7月に天城山の縦走を行い、万二郎岳から万三郎岳、八丁池を抜けるコースを歩いた。