日本百名山

富士山

富士山

撮影:chantatsu

富士山は、山梨県と静岡県にまたがる標高3,776mの日本最高峰です。整備された一般登山道でも、五合目から山頂までの標高差は1,300m以上あります。高山病や急な天候悪化への備えが欠かせないため、このページでは4つの登山ルートを比較し、初めて登る人が計画前に確認したい情報をまとめます。

2026年9月12日更新:2026年の富士登山シーズンは終了しています。現在は登山道が冬季閉鎖中です。開山期間外の登山は危険なため、一般登山者は夏の開山期間に計画してください。最新情報は富士登山オフィシャルサイトで確認できます。

名称富士山
よみふじさん
所在地山梨県 静岡県
標高3,776m(最高地点:剣ヶ峰)
山系独立峰
種別成層火山・活火山
登山適期夏の開山期間(例年7月上旬~9月10日ごろ・ルートによる)
分類日本三名山
日本百名山
新日本百名山
評価ルート吉田ルート(富士スバルライン五合目往復)
難易度★★
体力度★★★
参考日程1泊2日

※難易度と体力度は、登山道が開通している無雪期・天候良好時の吉田ルートを基準としています。山梨県の「山のグレーディング」では、富士スバルライン五合目からの往復を体力度5、技術的難易度Bと評価しています。登山道の整備状況だけでなく、高度、天候、混雑、体調によって実際の負担は大きく変わります。

富士山は初心者でも登れる?

富士山には鎖場が連続するような高度な登攀技術は通常必要ありません。一方、技術的に難しくないことと、簡単に登頂できることは別です。五合目からでも長時間歩き続ける体力が必要で、標高が上がるほど高山病の可能性も高まります。

初めて富士山に登るなら、山小屋が多く、登りと下りが分かれている吉田ルートが比較的選びやすいでしょう。ただし、登山そのものが初めての人が単独で挑むことはおすすめできません。事前に低山で登山靴や雨具に慣れ、長時間歩く経験を積んだうえで、経験者や登山ガイドと計画してください。

富士山の4つの登山ルートを比較

富士山の主要な登山道は、吉田・富士宮・須走・御殿場の4ルートです。登山口の標高だけでなく、距離、山小屋の数、混雑しやすさ、登りと下りの路面が異なります。

ルート登山口標高登り下り特徴体力度・難易度
吉田ルート2,305m6.8km・約6時間10分7.0km・約3時間35分山小屋と救護所が多い一方、混雑しやすい5・B
富士宮ルート2,400m4.3km・約5時間10分4.3km・約2時間40分最短距離だが傾斜が急。登山道と下山道が同じ5・B
須走ルート2,000m6.9km・約6時間25分6.2km・約3時間20分樹林帯を歩け、下山では砂走りを通る6・B
御殿場ルート1,440m10.5km・約8時間40分8.4km・約3時間30分距離と標高差が最大。山小屋が少なく健脚向け7・B

※距離と時間は富士登山オフィシャルサイトの目安で、休憩時間を含みません。体力度・難易度は山梨県・静岡県の「山のグレーディング」によります。評価条件や計測範囲が異なるため、距離・時間の数値は同一資料内でも差が生じる場合があります。

吉田ルート|初めての富士登山で選びやすい

富士スバルライン五合目から山頂を目指す、山梨県側のルートです。登山道と下山道が分かれ、4ルートの中で山小屋と救護所が最も充実しています。七合目付近から岩場が増え、本八合目で須走ルートと合流します。山頂直下は道が狭く、ご来光前の時間帯には渋滞しやすい点に注意が必要です。

富士宮ルート|距離は短いが急登が続く

4ルートで最も高い標高2,400mの五合目から出発します。山頂までの距離が短く、剣ヶ峰にも近いことが利点です。一方、六合目より上は岩の多い急な登りが続きます。登りと下りで同じ道を使うため道を間違えにくい反面、混雑時にはすれ違いに時間がかかります。

須走ルート|樹林帯と砂走りを楽しめる

五合目から本六合目付近まで樹林帯が続き、日差しを避けながら歩ける区間があります。標高を上げると火山砂礫と岩場が中心になり、本八合目で吉田ルートと合流します。下山時は吉田ルートとの分岐を見落とさず、赤色の案内表示を確認してください。

御殿場ルート|標高差が大きい健脚向け

標高1,440mの新五合目から登るため、4ルートで最も距離と標高差があります。登山者が比較的分散しやすく、下山時の大砂走りが特徴ですが、山小屋が少ない区間が長く続きます。初めての富士登山よりも、長時間の山歩きに慣れた人向けです。

2026年の開山期間と入山規制

2026年の登山シーズンは終了し、現在は登山道が冬季閉鎖中です。以下は2026年に公表された開山日程・入山規制の記録であり、次のシーズンの条件を示すものではありません。今後の開山日程、料金、規制は、正式発表後に富士登山オフィシャルサイトで確認してください。

2026年は全ルートで1人1回4,000円の通行料または入山料が必要でした。また、午後2時から翌午前3時までは、山小屋宿泊者を除いて入山できない規制が設けられました。Webでの予約・登録と決済は、山小屋の予約とは別の手続きです。

2026年の吉田ルートには、山小屋宿泊者を除いて1日4,000人の上限がありました。静岡県側の富士宮・須走・御殿場ルートには同様の人数上限はなく、事前学習、入山登録、入山料の納付が必要でした。

1泊2日を基本に計画する

富士登山は日帰りも不可能ではありませんが、当サイトでは山小屋に泊まる1泊2日を基本とします。短時間で高度を上げる日帰りや、十分な休息を取らず夜通し登る「弾丸登山」は、高山病や疲労、低体温症の危険を高めます。

1日目は五合目で1~2時間休み、体を高度に慣らしてから出発します。日没より前に予約した山小屋へ到着できる余裕のある計画にしてください。2日目は体調と天候を確認して山頂へ進み、下山用の体力と時間を残します。ご来光だけを目的に無理をせず、山小屋付近や登山道から見る選択肢もあります。

登頂と剣ヶ峰は同じではない

各ルートの「山頂」は火口の縁にある到着地点を指します。日本最高地点の剣ヶ峰は火口の南西側にあり、ルートによっては到着後にさらに移動が必要です。

火口を一周するお鉢巡りは約90分が目安です。標高3,700mを超える場所で歩行時間が増えるため、天候が安定し、下山に必要な体力と時間が十分残っている場合に限り検討してください。強風、濃霧、雷、体調不良があるときは取りやめます。

高山病・天候・落石に注意

高山病

富士山頂付近の気圧は平地のおよそ3分の2です。頭痛、吐き気、めまい、強いだるさなどが出たら登るのを中止し、休んでも改善しない場合は高度を下げてください。五合目で1~2時間休む、ゆっくり一定のペースで歩く、こまめに水分を取ることが予防の基本です。

寒さと急な天候悪化

山頂では夏でも日の出前に0℃近くまで下がることがあります。風が強ければ体感温度はさらに低下します。麓が晴れていても、雨、強風、雷に備え、防寒着と上下セパレート式の雨具を携行してください。

落石と道間違い

登山道を外れると、落石を起こしたり植生を傷めたりするおそれがあります。特に吉田・須走ルートの下山時は分岐を間違えやすいため、案内表示のルートカラーを確認します。ヘルメットは落石や噴火への備えとして携行を推奨します。

富士登山に必要な装備

最低限、次の装備を準備してください。スニーカーや街着だけでの登山は適しません。

登山口へのアクセスとマイカー規制

登山口までの交通手段はルートごとに異なります。登山バスの時刻やマイカー規制の日程は毎年変わるため、予約前に往復の移動手段まで確認してください。

2026年の静岡県側では、富士宮口が7月10日9時から9月10日18時まで、須走口が7月1日9時から9月10日18時までマイカー規制の対象でした。

富士山の特徴|日本最高峰の活火山

富士山は、溶岩や火山噴出物が積み重なってできた成層火山です。現在も気象庁が監視する活火山であるため、登山前には天気や登山道だけでなく、最新の火山情報も確認してください。噴火警戒レベル1の場合でも「活火山であることに留意」が必要であり、登山の安全を保証するものではありません。

富士山は日本百名山であると同時に、2013年に「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産に登録されました。自然景観だけでなく、山頂への登拝、浅間神社、富士講、葛飾北斎などの作品へつながる信仰と芸術の文化が評価されています。

富士山登山のよくある質問

富士山は日帰りできますか?

体力やルートによっては可能ですが、初めて登る人には1泊2日を推奨します。五合目で高度順応する時間、休憩、混雑、下山時間まで含めると、公式の標準歩行時間より長くかかります。

初心者におすすめのルートは?

山小屋と救護所が多く、登りと下りが分かれている吉田ルートが比較的選びやすいルートです。ただし、混雑しやすく、高山病や天候急変の危険は他ルートと同様にあります。

富士山の山頂まで行けば3,776mに到達できますか?

各登山道が着く火口縁と、最高地点の剣ヶ峰は同じ場所ではありません。剣ヶ峰へ行く場合は、山頂到着後の移動時間と下山に必要な余力も計画に含めてください。

開山期間外でも登れますか?

開山期間外は山小屋や公衆トイレが閉まり、登山道の整備や開山期と同様の救護体制もありません。積雪、凍結、強風、雪崩などの危険が高まるため、一般登山者向けの時期ではありません。

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