鳳凰山

鳳凰山(ほうおうざん)は、南アルプス北東部に並ぶ地蔵岳・観音岳・薬師岳の総称です。最高地点の観音岳は標高2,841m。白い花崗岩の稜線、地蔵岳のオベリスク、富士山や白峰三山を望む展望が魅力です。一方、青木鉱泉から三山を巡る代表ルートは、累積標高差が上り・下りとも2,090mに達する長い山行です。山小屋泊を前提に、登山道・交通・営業情報を確認して計画してください。
| 名称 | 鳳凰山(鳳凰三山) |
|---|---|
| よみ | ほうおうざん |
| 所在地 | 山梨県 |
| 最高地点 | 観音岳 2,841m |
| 構成する山 | 地蔵岳・観音岳・薬師岳 |
| 山系 | 赤石山脈(南アルプス) |
| 分類 | 日本百名山 新日本百名山 新・花の百名山 山梨百名山 |
| 評価ルート | 鳳凰山(青木鉱泉)<地蔵岳・中道> |
|---|---|
| 難易度 | C(A〜Eの5段階) |
| 体力度 | 5(1〜10の10段階) |
| 参考日程 | 2泊3日 |
※難易度・体力度は、青木鉱泉からドンドコ沢方面へ登り、地蔵岳・観音岳・薬師岳を経て中道で青木鉱泉へ戻る周回ルートの評価です。公的グレーディングでは、合計コースタイム12.6時間、ルート長15.8km、累積標高差は上り・下りとも2,090m、難易度C・体力度5です。数値は無雪期・天候良好時の標準値で、休憩、山小屋滞在、交通待ちを含みません。別ルートへ一般化しないでください。
目次
鳳凰山はどんな山?
鳳凰山は一つの独立峰ではなく、北から地蔵岳(2,764m)、観音岳(2,841m)、薬師岳(2,780m)へ続く三山をまとめた名称です。地蔵岳の尖塔状の岩峰「オベリスク」、観音岳からの360度に近い展望、薬師岳周辺の白砂の稜線という、異なる景観を一度の縦走で楽しめます。
主稜線の西側には北岳(3,193m)と間ノ岳(3,190m)、北西には甲斐駒ヶ岳(2,967m)、東には富士山と甲府盆地が広がります。高峰を「登る」だけでなく、南アルプスの山々を比較しながら歩く展望ルートとして計画するのが鳳凰山らしい楽しみ方です。
三山で景観が変わる
地蔵岳周辺はオベリスクと賽ノ河原、観音岳は鳳凰三山の最高地点、薬師岳周辺は花崗岩の白砂と大岩が印象的です。オベリスク上部は一般登山道の山頂ではありません。登攀装備・技術なしに岩塔へ取り付かず、通常の登山では基部周辺から景観を楽しんでください。
鳳凰山の登山時期と季節ごとの見どころ
| 時期 | 見どころ | 計画時の注意 |
|---|---|---|
| 5月〜6月 | 新緑、残雪をまとった白峰三山の展望 | 稜線や沢筋に残雪がある場合があります。無雪期グレーディングをそのまま当てはめず、雪上装備と経験を確認します。 |
| 7月〜8月 | 高山植物、滝、白砂の稜線 | 午後の雷雨を避けるため早出が基本です。樹林帯でも熱中症と水不足に注意します。 |
| 9月〜10月 | 草紅葉・黄葉、澄んだ展望 | 日没が早まり、朝晩は氷点下近くまで冷えることがあります。山小屋・季節バスの終了日を確認します。 |
| 11月〜春 | 積雪期の静かな山域 | 冬山として別の技術・装備が必要です。12月1日〜3月31日は条例に基づく登山計画書提出義務の対象です。 |
花の時期は標高や残雪量で毎年変わります。鳳凰三山では8月にタカネビランジやホウオウシャジンが見られることがありますが、植物の開花だけで日程を決めず、登山道と小屋の最新情報を優先してください。
2026年10月12日確認の登山・交通情報
- 山梨県は、南精進ノ滝から地蔵岳方面のドンドコ沢について、2019年の台風で登山道が荒廃しているため、特に下山時は十分注意するよう案内しています。
- 鳳凰小屋の2026年通常営業は11月14日までの予定です。宿泊は完全予約制、テント泊も指定日と8人以上のグループは予約が必要です。
- 韮崎駅から青木鉱泉・御座石温泉へ向かう2026年の鳳凰三山登山バスは、6月20日〜10月12日の土日・三連休運行で、今季の運行を終了しました。
- 甲府駅方面から夜叉神峠へ向かう南アルプス登山バスは、2026年11月3日までの運行案内です。天候・道路状況による変更を出発前に確認してください。
この項目は山梨県の登山・山岳情報、鳳凰小屋の営業案内、鳳凰小屋のアクセス案内を確認して整理しています。
鳳凰山の主要登山ルート比較
| ルート | 標準値 | 難易度・体力度 | 特徴 | 日程の考え方 |
|---|---|---|---|---|
| 青木鉱泉周回(ドンドコ沢・地蔵岳・中道) | 12.6時間/15.8km/累積±2,090m | C/5 | 滝、鳳凰小屋、地蔵岳、観音岳、薬師岳を一度に巡る代表ルート | 指定データは2泊3日。小屋を使い行程を分割 |
| 夜叉神峠往復 | 13.1時間/24.5km/累積±1,850m | B/6 | 南御室小屋・薬師岳小屋を経る長い尾根ルート | 距離が長いため1〜2泊。交通時刻と日没を考慮 |
| 御座石温泉・燕頭山 | 公的一覧で同一条件の数値未確認 | ルート別に判断 | 鳳凰小屋へ北東側から入る。青木鉱泉への連絡道あり | 小屋泊を前提に最新状況を確認 |
| 広河原・白鳳峠 | 公的一覧で同一条件の数値未確認 | 急登・長時間行動として判断 | 白鳳峠を越えて地蔵岳側へ入る | バス利用と下山先を含む縦走計画向け |
標準値は日本百名山の登山ルートグレーディング一覧表によります。夜叉神峠ルートは難易度Bでも体力度6で、青木鉱泉周回より長距離です。技術的難易度が低いことと、行程が楽であることは同じではありません。
登山口・山小屋・稜線の位置関係
以下は主要地点のつながりを示す概略です。距離・方角・縮尺を示す地図ではありません。
青木鉱泉周回
青木鉱泉
↓ ドンドコ沢・滝群
鳳凰小屋
↓ 地蔵岳
観音岳
↓ 薬師岳
中道
↓ 青木鉱泉
夜叉神峠
夜叉神峠登山口
↓ 杖立峠・苺平
南御室小屋
↓ 薬師岳小屋
薬師岳
↓ 観音岳・地蔵岳
御座石温泉
御座石温泉
↓ 燕頭山
鳳凰小屋
↓ 地蔵岳
観音岳
↓ 薬師岳
分岐や水場の判断には、韮崎市観光協会の鳳凰三山ガイドマップと登山用地図を併用してください。概略図だけで進路を判断しないでください。
青木鉱泉・ドンドコ沢・中道周回
評価対象の代表ルートです。青木鉱泉からドンドコ沢を登ると、南精進ノ滝、鳳凰ノ滝、白糸ノ滝、五色ノ滝などを経て鳳凰小屋へ至ります。翌日に地蔵岳から観音岳、薬師岳へ縦走し、中道で青木鉱泉へ戻る組み方が基本です。
ドンドコ沢は沢沿いの急登が続き、雨後は滑りやすくなります。山梨県は特に下山利用への注意を案内しているため、当サイトでは登りにドンドコ沢、下りに中道を使う周回を基本として説明しています。これは編集上の推奨であり、通行安全を保証するものではありません。
夜叉神峠ルート
夜叉神峠登山口から杖立峠、苺平、南御室小屋、薬師岳小屋を経て稜線へ上がります。標準時間13.1時間、24.5km、体力度6の長い往復です。急な沢筋を避けやすい一方、長い樹林帯と稜線歩きが続くため、十分な持久力と小屋泊装備が必要です。
御座石温泉・燕頭山ルート
御座石温泉から燕頭山を経て鳳凰小屋へ入るルートです。地蔵岳を先に目指しやすく、青木鉱泉周回とは別の登山口を使います。御座石温泉は休業中と案内されているため、宿泊施設として当てにせず、駐車場・林道・交通の最新情報を確認してください。
広河原・白鳳峠ルート
広河原から白鳳峠を越えて高嶺・地蔵岳方面へ入る急登ルートです。青木鉱泉や夜叉神峠と起終点が異なり、路線バスの時刻に合わせた縦走計画が必要です。今回確認できた公的一覧には同一条件の往復数値がないため、所要時間・距離・累積標高差は推測していません。
鳳凰山の難易度をルート別に考える
| 確認点 | 青木鉱泉周回 | 夜叉神峠 | 御座石温泉・広河原 |
|---|---|---|---|
| 技術面 | 難易度C。急斜面、沢沿い、荒廃箇所、白砂の下りに注意 | 難易度B。長い尾根と稜線で道迷い・疲労に注意 | 公的な統一評価を確認できないため、各区間の最新情報で判断 |
| 体力面 | 体力度5、累積±2,090m | 体力度6、24.5km | 小屋泊・交通を含む縦走計画が必要 |
| 経験の目安 | 長時間登山、急下降、小屋泊を経験していること | 2日続けて長距離を歩けること | 分岐判断と交通を含む行程管理 |
| 悪天候時 | 増水・濡れた岩・落葉で難度が上がる | 稜線の強風、長い行程による遅延 | エスケープ先と最終交通を事前確認 |
難易度Cは「中級者なら安全」という保証ではありません。山梨県の基準では、ハシゴ・くさり場、雪渓や渡渉、転落・滑落につながる場所、案内標識が不十分な区間を含み得る評価です。残雪、強風、雨、日没後は難易度が上がります。
2泊3日のモデル日程
指定データの2泊3日を、青木鉱泉周回に当てはめた計画例です。公的な日程指定ではなく、行動を分散して余裕を持たせるための編集上の目安です。
- 1日目:青木鉱泉からドンドコ沢を登り、滝群を経て鳳凰小屋へ。明るいうちの到着を最優先にします。
- 2日目:鳳凰小屋から地蔵岳、観音岳、薬師岳を縦走し、薬師岳小屋へ。稜線の風と雷雲を見て引き返しを判断します。
- 3日目:薬師岳周辺から中道を下り、青木鉱泉へ。長い急下降のため、前日までの疲労を見込んで早出します。
鳳凰小屋と薬師岳小屋を実際に利用できる日程か、必ず両施設へ確認してください。営業日が合わない場合は、夜叉神峠側の南御室小屋を使う別計画へ組み替えます。日程を短縮する場合も、12.6時間という標準合計時間だけを単純に二分せず、登り・稜線・下りの負担を見て判断してください。
鳳凰山で利用する主な山小屋
| 山小屋 | 主な位置・役割 | 2026年確認事項 |
|---|---|---|
| 鳳凰小屋 | ドンドコ沢・燕頭山ルートの合流付近。地蔵岳の東側 | 通常営業は5月29日〜11月14日予定。宿泊は完全予約制。テントは指定日・8人以上で予約制 |
| 薬師岳小屋 | 薬師岳南側。夜叉神峠ルートと三山縦走の拠点 | 営業日・予約は公式サイトで確認。山頂稜線に近く天候変化へ注意 |
| 南御室小屋 | 夜叉神峠と薬師岳の間。水場・テント場の拠点 | 営業日・予約、水場の状況を公式サイトで確認 |
| 夜叉神峠小屋 | 夜叉神峠付近 | 営業日が限定されるため、通年の補給地点として前提にしない |
鳳凰小屋公式の宿泊・テント案内と、薬師岳小屋・南御室小屋公式サイトで、営業日、予約方法、水場、テント場を出発直前に確認してください。山小屋の営業期間外は、食事・寝具・水の提供を前提にできません。
登山口別のアクセスと駐車場
| 登山口 | 車・駐車場 | 公共交通 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 青木鉱泉 | 青木鉱泉駐車場:約100台、1日800円。韮崎ICから約50分 | 韮崎駅から季節運行バス。2026年は10月12日で終了。タクシーは韮崎駅から約45分が目安 | 小武川林道は未舗装・狭路区間あり。道路規制と車両条件を確認 |
| 御座石温泉 | 市営駐車場:約80台、無料。韮崎ICから約55分 | 韮崎駅から季節運行バス。2026年は10月12日で終了。タクシーは約50分が目安 | 御座石温泉は休業中。宿泊・売店・入浴を前提にしない |
| 夜叉神峠 | 夜叉神峠側の駐車・規制は現地案内に従う | 甲府駅・芦安方面から夜叉神峠・広河原行きバス。2026年は11月3日まで案内 | 夜叉神から広河原はマイカー規制。積雪・工事・大雨で規制が変わる |
| 広河原 | 一般車は夜叉神以西へ乗り入れ不可 | 路線バス・タクシーで入山 | 広河原〜北沢峠は車両・徒歩とも通行不可の案内を確認 |
青木鉱泉・御座石温泉の駐車料金・台数・所要時間は韮崎市観光協会の鳳凰三山案内によります。林道は落石や大雨で予告なく閉鎖される場合があります。ナビの到着予想だけで最終入山時刻を決めないでください。
安全に歩くための確認事項
- ドンドコ沢:荒廃箇所、沢沿いの濡れた岩、落葉による踏み跡の不明瞭化に注意します。特に下山利用は慎重に判断します。
- 中道:長い急下降で転倒や膝の負担が増えます。稜線到着が遅れた場合は、無理に周回を続けません。
- 稜線:白砂や花崗岩は濡れると滑りやすく、強風・雷から身を隠せる場所が限られます。午後の雷を避けるため早出します。
- 水:山小屋の水場は凍結・渇水・営業状況で使えない場合があります。確認できない場合は必要量を携行します。
- 登山届:通常期も登山計画を共有し、12月1日〜3月31日は条例に従って登山計画書を提出します。
- 判断基準:公的グレーディングは無雪期・好天時の目安です。積雪、凍結、増水、強風時には別の山行として判断します。
周辺の山と次の山選び
| 山 | 標高 | 鳳凰山との違い | 次に選ぶとき |
|---|---|---|---|
| 北岳 | 3,193m | より高く、広河原から急な登りが続く南アルプス最高峰 | 3,000m峰の小屋泊と大きな標高差に進みたい |
| 甲斐駒ヶ岳 | 2,967m | 鳳凰山と同じく白い花崗岩が目立つが、北沢峠・黒戸尾根で性格が大きく異なる | 岩稜と急登を含む別タイプの計画へ |
| 仙丈ヶ岳 | 3,033m | 北沢峠からカール地形を巡る。鳳凰山周回より一般ルートは短い | 南アルプスの3,000m峰へ段階的に進みたい |
| 間ノ岳 | 3,190m | 単独往復より北岳と組み合わせる縦走計画が中心 | 複数日の高所縦走へ進みたい |
| 八ヶ岳(赤岳) | 2,899m | 火山性の山域で、岩稜・山小屋・ルート選択が豊富 | 岩場の経験を段階的に増やしたい |
| 富士山 | 3,776m | 標高と高所順応が主課題。森林限界上の行動時間が長い | 高所環境への対応を重視したい |
鳳凰山の次は、標高だけで選ばず「累積標高差」「1日の行動時間」「岩場・沢・残雪」「交通制約」のどれを一段上げるかで比較すると、無理のないステップアップになります。
鳳凰山登山のFAQ
鳳凰山は日帰りできますか?
健脚者が日帰りする例はありますが、青木鉱泉周回は標準12.6時間・体力度5、夜叉神峠往復は13.1時間・体力度6です。当サイトの指定日程は2泊3日です。初めての鳳凰三山では小屋泊で行程を分け、交通と日没に余裕を持たせてください。
初心者向けの山ですか?
青木鉱泉周回は難易度Cで、長時間行動、急斜面、沢沿い、道迷い、滑落への対応が必要です。登山初心者が単独で最初に選ぶ山とは言いにくく、まず標高差の小さい山と小屋泊登山を経験してから計画するのが安全です。
地蔵岳のオベリスクには登れますか?
オベリスク上部は一般登山道として誰でも登れる山頂ではありません。登攀技術・装備が必要な岩塔で、通常の登山では基部や賽ノ河原周辺から眺めます。無理に取り付かないでください。
ドンドコ沢と中道はどちらを登りに使いますか?
滝を見ながらドンドコ沢を登り、中道を下る周回が一般的です。山梨県がドンドコ沢の下山に特に注意を促しているため、本ページもこの向きで説明しています。ただし当日の増水、崩落、積雪などを確認し、現地案内に従ってください。
公共交通だけで行けますか?
夏〜秋の季節運行日には、韮崎駅から青木鉱泉・御座石温泉への予約制バス、甲府駅方面から夜叉神峠へのバスがあります。2026年の青木鉱泉方面バスは10月12日で終了しました。翌シーズンの日程は新しい公式案内が出てから確認してください。
